おのづから花なき年の春もあらば
何につけてか日を暮らすべき
- 歌の意味
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もしたまたま花の咲かない年の春があったなら、何を頼りにして日々を過ごせばよいのだろう。
- 鑑賞
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春歌 92
詞書「春は花を友と云ふ事を、せか院の斎院にて人々よみけるに」
詞書によれば、せか院の斎院のもとで、人々が「春は花を友とする」という題で歌を詠んだ折の作である。もしある年に花が咲かない春があったなら、何を友として日々を過ごせばよいのだろう、と詠む。
花のない春を仮定することで、春の日々を過ごす支えがいかに花にかかっているかを表している。題の「花を友とする」を、友を失ったときを思う形で詠みこなしている。詞書の「せか院の斎院」は、賀茂の斎院をつとめた皇女が住んだ御所を指すと考えられるが、誰を指すかは本文からは確定できない。
初句「おのづから」は、たまたま、ひょっとして、の意である。
二句「花なき年の」は、花の咲かない年の、の意である。
三句「春もあらば」は、春があったならば、の意で、仮定の条件を表す。
四句「何につけてか」の「か」は疑問の係助詞で、結句の連体形「べき」と係り結びをなす。何を頼りにして、の意である。
結句「日を暮らすべき」は、日々を過ごせばよいのだろうか、の意で、花を友とする心を逆から表して結んでいる。
さいゐん:賀茂神社に奉仕した未婚の皇女。またその御所
くらす:日を過ごす
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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花の色や声に染むらん鶯の 鳴く音異なる春の曙
- 次の歌
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思ひ出に何をかせましこの春の 花待ちつけぬ我が身なりせば