木の下は見る人しげし桜花
よそに眺めて香をば惜しまん
- 歌の意味
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桜の木の下は見物の人で混み合っている。桜の花よ、私は離れたところから眺めて、その香を名残惜しく味わおう。
- 鑑賞
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春歌 95
詞書「屏風の絵を人々よみけるに、春の宮人群れて花見ける所に、よそなる人の見やりて立てりけるを」
詞書によれば、屏風の絵を題に人々が歌を詠んだ折、春の宮人たちが群れて花見をしている所に、離れたところから眺めて立っている人が描かれていたのを詠んだ歌である。絵の中の離れて立つ人の心になって、木の下は人で混み合っているから、自分は離れたところから眺めて、花の香を惜しもう、と詠んでいる。
にぎやかな花見の輪に加わらず、離れて静かに花を味わう人物の姿に、西行自身の花への向き合い方も重なっている。本巻の第八十七首で花見の群衆を桜の咎と詠んだのと通じ合う一首である。
初句「木の下は」は、桜の木の下は、の意である。
二句「見る人しげし」は、花見の人が多く混み合っている、の意で、二句切れとなる。
三句「桜花」は、桜の花への呼びかけである。
四句「よそに眺めて」は、離れたところから眺めて、の意である。
結句「香をば惜しまん」の「ん」は意志を表し、花の香を名残惜しく味わおう、と結んでいる。
みやびと:宮中に仕える人
をしむ:名残惜しく思う、大切に味わう
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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わきて見ん老い木は花もあはれなり 今いくたびか春にあふべき
- 次の歌
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吉野山ほき路伝ひに尋ね入りて 花見し春はひと昔かも