眺むてふ数に入るべき身なりせば
君が宿にて春は経ぬべし
- 歌の意味
-
あなたが一緒に眺めたいという人の数に入るような身であったなら、あなたの家で春を過ごしてしまうことだろう。
- 鑑賞
-
春歌 100
詞書「返し」
前歌のとしたかの歌に対する西行の返しである。あなたが一緒に花を眺めたいという人の数に、私が入るような身であったなら、喜んであなたの家で春を過ごすだろう、と答えている。
相手の誘いをありがたく受け止めつつ、自分はその数に入るような者ではないと謙遜して、やんわりと辞退している。前歌の「眺めまほしき」を「眺むてふ」と受け、贈答の言葉を巧みに結びつけている。
初句「眺むてふ」は、眺めたいという、の意で、「てふ」は「といふ」が縮まった形である。前歌の「眺めまほしき」を受けている。
二句「数に入るべき」は、その人数の中に入るはずの、の意である。
三句「身なりせば」は、そのような身であったならば、の意で、事実に反する仮定を表す。
四句「君が宿にて」は、あなたの家で、の意である。
結句「春は経ぬべし」は、春を過ごしてしまうだろう、の意で、三句の仮定を受けて、謙遜の気持ちを込めて結んでいる。
かず:人数、仲間の中
やど:家、住まい
- 作者
-
西行
- 出典
-
山家集
- 前の歌
-
おのづから来る人あらばもろともに 眺めまほしき山桜かな
- 次の歌
-
見る人に花も昔を思ひ出でて 恋しかるべし雨にしをるる