濡るともと陰を頼みて思ひけん
人の跡踏む今日にもあるかな
- 歌の意味
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たとえ濡れてもかまわないと、花の陰を頼りにして思ったという昔の人の跡を、そのままたどる今日であることよ。
- 鑑賞
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春歌 103
詞書「雨の降りけるに、花の下にて車立てて眺めける人に」
詞書によれば、雨の降る中、花の下に車を止めて花を眺めている人に詠みかけた歌である。濡れてもよいから花の陰に身を寄せようと思った昔の人の風流を、今日あなたはそのままたどっているのだ、と相手の風雅をたたえている。
この歌は、『拾遺和歌集』のよみ人しらずの歌「桜狩り雨は降り来ぬ同じくは濡るとも花の陰に隠れむ」を踏まえている。古歌の風流を目の前の人の振る舞いに重ねて、雨中の花見の趣を味わっている。
初句「濡るともと」は、たとえ濡れてもかまわないと、の意で、本歌の「濡るとも」を引いている。
二句「陰を頼みて」は、花の陰を頼りにして、の意である。
三句「思ひけん」の「けん」は過去の伝聞や推量を表し、そう思ったという、の意で、本歌の作者を指している。
四句「人の跡踏む」は、その昔の人の先例をたどる、の意である。
結句「今日にもあるかな」は、今日であることよ、と詠嘆の「かな」で、古歌の風流が今日よみがえったことに感じ入って結んでいる。
かげ:物陰、木陰
あと:先人の行い、先例
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
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いにしへをしのぶる雨と誰か見ん 花もその世の友しなければ
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散るを見て帰る心や桜花 昔にかはるしるしなるらん