勅とかや下す帝のいませかし
さらば恐れて花や散らぬと
- 歌の意味
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勅命とかいうものを下す帝がいらっしゃればよいのに。そうすれば、花も恐れ入って散らずにいるかと思うので。
- 鑑賞
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春歌 106
詞書「落花の歌あまたよみけるに」
落花の歌を多く詠んだ折の歌で、ここから三十首にわたる落花の歌が続く。散らないようにと花に命じる勅命を下してくれる帝がいらっしゃればよいのに、そうすれば花も恐れ入って散らないだろうから、と詠んでいる。
人の世では帝の命令は絶対であるが、花に対しては誰の力も及ばない。その無理を承知で、帝の勅命にすがりたいほど散る花を惜しむ心を、大胆な発想で表している。
初句「勅とかや」は、勅命とかいうものを、の意で、帝の命令を持ち出している。
二句「下す帝の」は、勅命を下す帝が、の意である。
三句「いませかし」の「かし」は念を押す終助詞で、いらっしゃればよいのに、と願って三句切れとなる。
四句「さらば恐れて」は、そうすれば恐れ入って、の意である。
結句「花や散らぬと」の「や」は疑問の係助詞で、花が散らないでいるかと思って、と三句の願いの理由を倒置の形で示して結んでいる。
ちょく:天皇の命令
みかど:天皇
います:いらっしゃる
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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散りそむる花の初雪降りぬれば 踏み分けまうき志賀の山越え
- 次の歌
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波もなく風ををさめし白河の 君の折もや花は散りけん