いかで我この世のほかの思ひ出に
風をいとはで花を眺めん
- 歌の意味
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どうにかして私は、あの世へ持っていく思い出として、風を気にすることなく花を眺めたいものだ。
- 鑑賞
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春歌 108
詞書は前の歌に続き「落花の歌あまたよみけるに」
あの世へ持っていく思い出として、せめて一度は、花を散らす風を気にかけずに、心ゆくまで花を眺めたい、と願う歌である。
二句から三句の「この世のほかの思ひ出に」は、和泉式部の「あらざらむこの世のほかの思ひ出に今ひとたびの逢ふこともがな」(『後拾遺和歌集』)を思わせる表現で、恋の歌の言葉を花への思いに転じている。花が散ることへの憂いから解き放たれたいという、切実な願いが込められている。
初句「いかで我」は、どうにかして私は、の意で、結句の意志と呼応して強い願いを表す。
二句「この世のほかの」は、この世の外の、つまり死後の世の、の意である。
三句「思ひ出に」は、思い出として、の意で、字余りとなっている。二句と合わせて、和泉式部の歌の表現を踏まえている。
四句「風をいとはで」は、風を嫌うことなく、気にかけることなく、の意である。
結句「花を眺めん」の「ん」は意志を表し、花を眺めたい、と結んでいる。
いとふ:嫌がる、避ける
ながむ:物思いにふけりながら見つめる
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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波もなく風ををさめし白河の 君の折もや花は散りけん
- 次の歌
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年を経て待つも惜しむも山桜 心を春は尽くすなりけり