年を経て待つも惜しむも山桜
心を春は尽くすなりけり
- 歌の意味
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毎年毎年、咲くのを待つのも、散るのを惜しむのも山桜のことで、春はただひたすらに心を尽くすものであったのだなあ。
- 鑑賞
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春歌 109
詞書は前の歌に続き「落花の歌あまたよみけるに」
毎年、咲くのを待つことにも、散るのを惜しむことにも心を砕いてきたのはすべて山桜のためであり、春という季節は桜に心を尽くし果てるものだった、と振り返る歌である。
花を待つ心と花を惜しむ心という、桜をめぐる二つの思いを一首にまとめ、春のすべてが桜に費やされてきたことを詠んでいる。初句「年を経て」は本巻の第八十九首の初句と同じで、長い年月の中で変わらない桜への思いが表されている。
初句「年を経て」は、年を重ねて、毎年毎年、の意である。
二句「待つも惜しむも」は、咲くのを待つことも、散るのを惜しむことも、の意で、二つの心を並べている。
三句「山桜」は、待つことと惜しむことの対象を示し、三句切れとなる。
四句「心を春は」は、春には心を、の意である。
結句「尽くすなりけり」は、心を尽くし果てるものだったのだなあ、と気づきの「けり」で結んでいる。
つくす:心のかぎりを尽くす
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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いかで我この世のほかの思ひ出に 風をいとはで花を眺めん
- 次の歌
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吉野山谷へたなびく白雲は 峰の桜の散るにやあるらん