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吉野山峰なる花はいづかたの
谷にかわきて散り積もるらん

歌の意味
吉野山の峰に咲く花は、どちらの谷に、とりわけ多く散り積もるのだろうか。
鑑賞
春歌 111

詞書は前の歌に続き「落花の歌あまたよみけるに」
 吉野山の峰に咲く花は、散ったあと、どちらの谷にとりわけ多く降り積もるのだろうか、と思いを巡らせる歌である。
 前歌で峰の花が谷へ散る様子を雲に見立てたのを受け、その花が積もる先の谷へと思いを向けている。峰から谷へという花の行方を、二首で追いかけている。

 初句「吉野山」は、前歌と同じく大和国の桜の名所である。
 二句「峰なる花は」は、峰にある花は、の意である。
 三句「いづかたの」は、どちらの、の意である。
 四句「谷にかわきて」の「か」は疑問の係助詞で、結句の「らん」と係り結びをなす。「わきて」は、とりわけ、の意である。
 結句「散り積もるらん」は、散り積もるのだろうか、の意で、推量の「らん」で結んでいる。

ちりつもる:散って降り積もる
作者
西行
出典
山家集
前の歌
吉野山谷へたなびく白雲は 峰の桜の散るにやあるらん
次の歌
山おろしの木の下埋む春の雪は 岩井に浮くも氷とぞ見る