惜しまれぬ身だにも世にはあるものを
あなあやにくの花の心や
- 歌の意味
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誰にも惜しまれない私のような身でさえ、この世に長らえているというのに、ああ、なんと意地の悪い花の心であることか。
- 鑑賞
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春歌 116
詞書は前の歌に続き「落花の歌あまたよみけるに」
誰からも惜しまれない自分のような者でさえ、こうしてこの世に生き長らえているのに、人々にあれほど惜しまれる花はさっさと散ってしまう。ああ、なんと意地の悪い花の心であろう、と嘆く歌である。
惜しまれない自分と、惜しまれながら散る花とを対比させ、思いどおりにならない世の皮肉を、花を責める形で表している。自らを卑下する言葉の中に、花を惜しむ心の強さがにじんでいる。
初句「惜しまれぬ」は、誰にも惜しまれない、の意である。
二句「身だにも世には」の「だに」は、~でさえ、の意で、取るに足らない我が身でさえ、と程度の軽いものを挙げている。
三句「あるものを」は、生きているというのに、の意で、逆接で下に続き、三句切れとなる。
四句「あなあやにくの」は、ああ、なんと意地の悪い、の意である。「あな」は感動詞である。
結句「花の心や」の「や」は詠嘆で、惜しまれながら散る花の心を嘆いて結んでいる。
よ:この世、世の中
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
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吉野山花吹き具して峰越ゆる 嵐は雲とよそに見ゆらん
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憂き世にはとどめおかじと春風の 散らすは花を惜しむなりけり