憂き世にはとどめおかじと春風の
散らすは花を惜しむなりけり
- 歌の意味
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このつらい世には花をとどめておくまいと、春風が花を散らすのは、実は花を惜しんでいるからなのだった。
- 鑑賞
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春歌 117
詞書は前の歌に続き「落花の歌あまたよみけるに」
春風が花を散らすのは、つらいこの世に花をいつまでもとどめておくまいとする、花への思いやりからなのだった、と見方を転じた歌である。
ふつうは花を散らす風を恨むところを、風もまた花を惜しんで憂き世から救い出しているのだ、と逆の発想でとらえている。出家者らしい、憂き世を厭う心が背後に感じられる。
初句「憂き世には」は、つらいこの世には、の意である。
二句「とどめおかじと」の「じ」は打消の意志を表し、とどめておくまいと、の意である。
三句「春風の」は、四句の「散らす」の主語となる。
四句「散らすは花を」は、花を散らすのは、の意である。
結句「惜しむなりけり」は、実は花を惜しんでいるのだったのだ、と気づきの「けり」で、風の真意を明かして結んでいる。
うきよ:つらいことの多い世の中
とどめおく:その場に残しておく
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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惜しまれぬ身だにも世にはあるものを あなあやにくの花の心や
- 次の歌
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もろともに我をも具して散りね花 憂き世をいとふ心ある身ぞ