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いかでかは散らであれとも思ふべき
しばしと慕ふ嘆き知れ花

歌の意味
どうして散らずにいてくれとまで思えようか。ただ、しばらくの間だけでもと慕うこの嘆きを知っておくれ、花よ。
鑑賞
春歌 123

詞書は前の歌に続き「落花の歌あまたよみけるに」
 散らずにずっといてくれとまでは、とても望めない。ただ、せめてしばらくの間だけでもと名残を惜しむ、この嘆きだけは分かってほしい、と花に呼びかける歌である。
 散ることを花の定めとして受け入れつつ、それでもわずかの猶予を願う、控えめで切実な心が表れている。

 初句「いかでかは」は、どうして~か、いや~ない、の意の反語で、三句の「べき」と係り結びをなす。
 二句「散らであれとも」は、散らないでいてくれとも、の意である。
 三句「思ふべき」は、思うことができようか、の意で、反語により、そこまでは望めないことを表して三句切れとなる。
 四句「しばしと慕ふ」は、しばらくの間だけでもと名残を惜しむ、の意である。
 結句「嘆き知れ花」は、この嘆きを知れ、花よ、の意で、命令形と呼びかけで花に訴えて結んでいる。

したふ:名残を惜しむ、恋い慕う
なげき:嘆くこと、悲しみ
作者
西行
出典
山家集
前の歌
梢吹く風の心はいかがせん 従ふ花の恨めしきかな
次の歌
木の下の花に今宵は埋もれて 飽かぬ梢を思ひ明かさん