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木の下に旅寝をすれば吉野山
花の衾を着する春風

歌の意味
木の下で旅寝をすると、吉野山では、春風が花びらの夜具を私に着せかけてくれる。
鑑賞
春歌 125

詞書は前の歌に続き「落花の歌あまたよみけるに」
 吉野山の桜の木の下で旅寝をしていると、春風が花びらを吹き散らし、まるで花の夜具を着せかけてくれるようだ、と詠む歌である。
 散りかかる花びらを夜具に見立て、春風を旅人をいたわる者として擬人化している。前歌の花に埋もれて夜を明かす心を受け、ここでは花の衾に包まれる旅寝の情趣を描いている。本巻の第四十二首では鶯の巣を苔の衾に見立てていたが、ここでは花びらが人の衾となっている。

 初句「木の下に」は、桜の木の下で、の意である。
 二句「旅寝をすれば」は、旅先で寝ると、の意である。
 三句「吉野山」は、大和国の桜の名所で、旅寝の場所を示す。
 四句「花の衾を」は、散りかかる花びらを夜具に見立てた表現である。
 結句「着する春風」は体言止めで、花の夜具を着せかけてくれる春風を示して結んでいる。

たびね:旅先で寝ること
ふすま:寝るときに体にかける夜具
きす:着せる
作者
西行
出典
山家集
前の歌
木の下の花に今宵は埋もれて 飽かぬ梢を思ひ明かさん
次の歌
雪と見えて風に桜の乱るれば 花のかさ着る春の夜の月