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あながちに庭をさへ掃く嵐かな
さこそ心に花を任せめ

歌の意味
無理やりに、庭に散った花までも掃き散らしてしまう嵐であることよ。枝の花をお前の思いのままにするのは、それはそれで任せもしようが。
鑑賞
春歌 129

詞書は前の歌に続き「落花の歌あまたよみけるに」
 枝の花を散らすだけでなく、庭に散り敷いた花びらまで強引に掃き去ってしまう嵐を嘆く歌である。枝の花を散らすのはお前の心に任せるしかないとしても、庭の花まで奪わなくてもよいだろう、という思いが込められている。
 散った花びらもまた、花を惜しむ者にとっては慰めである。その最後の名残までも奪っていく嵐への恨みを、譲歩の言い方で表している。

 初句「あながちに」は、無理やりに、強引に、の意である。
 二句「庭をさへ掃く」の「さへ」は、~までも、の意で、枝の花ばかりか庭の花までも、という添加を表す。
 三句「嵐かな」は、嵐であることよ、と詠嘆の「かな」で三句切れとなる。
 四句「さこそ心に」の「こそ」は強意の係助詞で、結句の已然形「め」と係り結びをなす。それほどまでに、お前の心に、の意である。
 結句「花を任せめ」は、花をお前の思いのままに任せもしよう、の意で、譲歩しつつ、庭の花まで奪う嵐を恨む心を込めて結んでいる。

はく:ほうきなどで掃き払う
まかす:相手の思うままにさせる
作者
西行
出典
山家集
前の歌
春深み枝も揺るがで散る花は 風の咎にはあらぬなるべし
次の歌
あだに散るさこそ梢の花ならめ 少しは残せ春の山風