- 歌の意味
-
はかなく散るのが、いかにも梢の花というものなのだろう。それでも少しは残しておいておくれ、春の山風よ。
- 鑑賞
-
春歌 130
詞書は前の歌に続き「落花の歌あまたよみけるに」
はかなく散ってしまうのが、梢に咲く花の本性なのだろうとは分かっている。それでも、少しは散らさずに残しておいてくれ、と春の山風に頼む歌である。
散ることを花の定めとして認めつつ、なおわずかな名残を願う心が表れている。前歌の「さこそ心に花を任せめ」と同じく「さこそ」の譲歩の形を用い、二首続けて、認めながらも惜しむ心を描いている。
初句「あだに散る」は、はかなく散る、の意である。
二句「さこそ梢の」の「こそ」は強意の係助詞で、三句の已然形「め」と係り結びをなす。前歌の四句と同じく「さこそ」を用いている。
三句「花ならめ」は、花というものなのだろう、の意で、係り結びにより三句切れとなる。
四句「少しは残せ」は、少しは残しておけ、の意の命令形である。
結句「春の山風」は体言止めの呼びかけで、花を散らす山風に語りかけて結んでいる。
のこす:あとにとどめておく
- 作者
-
西行
- 出典
-
山家集
- 前の歌
-
あながちに庭をさへ掃く嵐かな さこそ心に花を任せめ
- 次の歌
-
心得つただひとすぢに今よりは 花を惜しまで風をいとはん