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花と見ばさすがなさけをかけましを
雲とて風の払ふなるべし

歌の意味
もし花と見たなら、風もさすがに情けをかけて散らさずにいただろうに。花を雲だと思って払いのけているのだろう。
鑑賞
春歌 133

詞書は前の歌に続き「落花の歌あまたよみけるに」
 風が花を散らすのは、花を雲と見誤って払いのけているからだろう、もし花だと分かっていれば、さすがの風も情けをかけて散らさずにいただろうに、と詠む歌である。
 桜を雲に見立てる伝統的な見立てを逆手にとり、その見立てのせいで風が花を雲と思い違えたのだ、と機知を働かせている。前歌の桜にまがう白雲を受け、雲と花との取り違えが、ここでは風の側から描かれている。

 初句「花と見ば」は、もし花と見たならば、の意で、事実に反する仮定を表す。
 二句「さすがなさけを」は、さすがに思いやりを、の意である。
 三句「かけましを」の「まし」は反実仮想で、かけただろうに、と残念がる気持ちを表して三句切れとなる。
 四句「雲とて風の」は、雲だと思って風が、の意である。
 結句「払ふなるべし」は、払いのけているのだろう、の意で、推量の「べし」で風の思い違いを推し量って結んでいる。

なさけ:思いやり、情け
はらふ:吹き払う、取り除く
作者
西行
出典
山家集
前の歌
吉野山桜にまがふ白雲の 散りなんのちは晴れずもあらなん
次の歌
風誘ふ花の行方は知らねども 惜しむ心は身にとまりけり