花盛り梢を誘ふ風なくて
のどかに散らす春にあはばや
- 歌の意味
-
花盛りの梢を誘って散らす風もなく、のどかに花を散らしていく春に、めぐりあいたいものだ。
- 鑑賞
-
春歌 135
詞書は前の歌に続き「落花の歌あまたよみけるに」
花盛りの梢を誘って散らす風が吹くこともなく、ただのどかに、自然のままに花が散っていく、そのような春にめぐりあいたい、と願う歌である。
落花の歌三十首の結びとなる歌で、風に散らされる花を嘆き、風を恨んできた一連の思いが、最後に、穏やかに花が散る春への願いとして結ばれている。二句の「梢を誘ふ」は前歌の初句「風誘ふ」を受けている。
初句「花盛り」は、花が満開である、の意である。
二句「梢を誘ふ」は、梢の花を誘って散らす、の意で、前歌の初句と同じく「誘ふ」を用いている。
三句「風なくて」は、そのような風もなく、の意である。
四句「のどかに散らす」は、ゆったりと穏やかに花を散らしていく、の意である。
結句「春にあはばや」の「ばや」は自己の願望を表し、そのような春にめぐりあいたい、と結んでいる。
あふ:めぐりあう、出会う
- 作者
-
西行
- 出典
-
山家集
- 前の歌
-
風誘ふ花の行方は知らねども 惜しむ心は身にとまりけり
- 次の歌
-
風荒み梢の花の流れ来て 庭に波立つ白河の里