- 歌の意味
-
風が荒いので、梢の花が流れるように吹き寄せて、庭に白い波が立っている白河の里よ。
- 鑑賞
-
春歌 136
詞書「庭花似波と云ふ事を」
庭の花が波に似るという題の歌である。荒い風に吹かれて梢の花びらが流れるように庭に吹き寄せ、まるで庭に白い波が立っているようだ、と白河の里の景を詠む。
散り敷いた花びらが風に寄せられる様子を波に見立て、白河という地名の「川」と「波」とを響き合わせている。庭が川のように見えるという、地名を生かした見立てに工夫がある。
初句「風荒み」は、風が荒いので、の意で、「み」は原因や理由を表す。
二句「梢の花の」は、梢から散る花の、の意である。
三句「流れ来て」は、流れるように吹き寄せてきて、の意で、「流る」は波の縁語である。
四句「庭に波立つ」は、庭に白い波が立つ、の意で、寄せる花びらを波に見立てている。
結句「白河の里」は体言止めで、地名の「川」が四句の「波」と響き合い、花の波立つ里の景を示して結んでいる。
しらかは:京の東、白河の地。桜の名所
- 作者
-
西行
- 出典
-
山家集
- 前の歌
-
花盛り梢を誘ふ風なくて のどかに散らす春にあはばや
- 次の歌
-
あだに散る梢の花を眺むれば 庭には消えぬ雪ぞ積もれる