散る花の庵の上をふくならば
風入るまじくめぐり囲はん
- 歌の意味
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散る花が庵の屋根を葺いてくれるのなら、風が入り込まないように、まわりを囲ってしまおう。
- 鑑賞
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春歌 138
詞書「高野に籠りたりける頃、草の庵に花の散り積みければ」
詞書によれば、高野山にこもっていたころ、草の庵に花びらが散り積もったので詠んだ歌である。散る花びらが庵の屋根を葺いてくれるのなら、その花を吹き散らす風が入ってこないように、庵のまわりを囲ってしまおう、と詠んでいる。
「ふく」に、屋根を「葺く」と風が「吹く」とを掛け、花の屋根に住むという風雅な発想を、風への用心と結びつけている。修行の地での簡素な暮らしの中に、花を愛する心がのぞいている。
初句「散る花の」は、散る桜の花が、の意である。
二句「庵の上を」は、草の庵の屋根の上を、の意である。
三句「ふくならば」の「ふく」は、屋根を「葺く」と、風が「吹く」とを掛けた掛詞である。
四句「風入るまじく」は、風が入り込まないように、の意である。
結句「めぐり囲はん」の「ん」は意志を表し、まわりを囲ってしまおう、と結んでいる。
ふく:屋根を葺く意と、風が吹く意を掛ける
いほり:草や木で作った粗末な住まい
かうや:紀伊国の高野山。真言宗の修行の地
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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あだに散る梢の花を眺むれば 庭には消えぬ雪ぞ積もれる
- 次の歌
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春風の花を散らすと見る夢は 覚めても胸の騒ぐなりけり