山桜枝きる風の名残なく
花をさながら我がものにする
- 歌の意味
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山桜の枝を切るように吹く風は、名残ひとつ残さず、花をそっくりそのまま自分のものにしてしまう。
- 鑑賞
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春歌 140
詞書「風前落花」
風の前の落花を題とする歌である。山桜の枝を切りつけるように激しく吹く風が、花を一片の名残も残さず、すっかり自分のものにしてしまう、と詠む。
花を散らす風を、花を奪い取る者に見立てたところに工夫がある。人が花を惜しんで手元にとどめようとするのに、風は根こそぎ花を持ち去ってしまう、という恨めしさがにじむ。
初句「山桜」は、山に咲く桜の、の意で、二句の「枝」に続く。
二句「枝きる風の」は、枝を切るように激しく吹く風の、の意である。
三句「名残なく」は、名残を少しも残さず、の意である。
四句「花をさながら」は、花をそっくりそのまま、の意である。
結句「我がものにする」は、自分のものにしてしまう、の意で、花を奪い去る風の姿を表して結んでいる。
なごり:物事が過ぎ去った後に残るもの
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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春風の花を散らすと見る夢は 覚めても胸の騒ぐなりけり
- 次の歌
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梢打つ雨にしをれて散る花の 惜しき心を何にたとへん