梢打つ雨にしをれて散る花の
惜しき心を何にたとへん
- 歌の意味
-
梢を打つ雨にしおれて散っていく花を惜しむ心を、いったい何にたとえたらよいだろう。
- 鑑賞
-
春歌 141
詞書「雨中落花」
雨の中の落花を題とする歌である。梢を打つ雨に濡れてしおれ、散っていく花を惜しむ気持ちは、何にたとえようもないほど深い、と詠んでいる。
前歌の風に散る花に続き、ここでは雨に散る花を詠む。たとえようがないと言うことで、かえって惜しむ心の大きさを表している。「雨にしをれ」の語は本巻の第百一首の結句にも見え、そこでは雨にしおれる花が昔を恋う姿とされていた。
初句「梢打つ」は、梢を打つ、の意で、激しく降る雨の様子を示す。
二句「雨にしをれて」は、雨に濡れてしおれて、の意である。
三句「散る花の」は、散っていく花の、の意である。
四句「惜しき心を」は、惜しいと思う心を、の意である。
結句「何にたとへん」は、何にたとえたらよいだろう、の意で、たとえようのない惜しさを表して結んでいる。
しをる:草木がぐったりとしおれる
たとふ:他のものになぞらえる
- 作者
-
西行
- 出典
-
山家集
- 前の歌
-
山桜枝きる風の名残なく 花をさながら我がものにする
- 次の歌
-
吉野山ひとむら見ゆる白雲は 咲き遅れたる桜なるべし