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吉野山人に心をつけ顔に
花よりさきにかかる白雲

歌の意味
吉野山では、花に心を寄せよと人に知らせるかのように、花が咲くより先にかかっている白雲よ。
鑑賞
春歌 143

詞書「花歌十五首よみけるに」
 花の歌十五首を詠んだ折の歌で、ここから十五首が続く。吉野山では、花が咲く前から、もうすぐ花が咲くぞと人に心づけするかのように、花より先に白雲がかかっている、と詠む。
 これまで咲いた桜を白雲に見立ててきたが、ここでは花に先立ってかかる本物の白雲を、花の訪れを予告するものとしてとらえている。十五首の一連を、花を待つ心から詠み起こしている。

 初句「吉野山」は、大和国の桜の名所である。
 二句「人に心を」は、人に花への心を、の意である。
 三句「つけ顔に」は、気づかせるかのような様子で、の意で、白雲を擬人化している。
 四句「花よりさきに」は、花が咲くより先に、の意である。
 結句「かかる白雲」は体言止めで、花に先立って峰にかかる白雲を示して結んでいる。

つけがほ:気づかせるような様子
作者
西行
出典
山家集
前の歌
吉野山ひとむら見ゆる白雲は 咲き遅れたる桜なるべし
次の歌
山寒み花咲くべくもなかりけり あまりかねても尋ね来にける