峰に散る花は谷なる木にぞ咲く
いたくいとはじ春の山風
- 歌の意味
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峰で散る花は、吹き下ろされて谷にある木に咲く。だから、春の山風をひどく嫌うことはすまい。
- 鑑賞
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春歌 155
詞書は前の歌に続き「花歌十五首よみけるに」
峰で散った花びらは、山風に吹き下ろされて谷の木にとまり、そこでまた咲いたように見える。だから花を散らす春の山風も、それほど嫌うことはするまい、と詠む歌である。
散る花が谷でふたたび咲くという見方によって、山風への恨みを和らげている。本巻の第百三十一首では「風をいとはん」と風を厭うことを心に決めていたが、ここでは「いとはじ」と、風を厭うまいとする反対の心が詠まれている。
初句「峰に散る」は、峰で散る、の意である。
二句「花は谷なる」は、花は谷にある、の意で、峰と谷とが対比されている。
三句「木にぞ咲く」の「ぞ」は強意の係助詞で、連体形「咲く」と係り結びをなし、三句切れとなる。散った花が谷の木にとまる様子を、咲くと見ている。
四句「いたくいとはじ」の「じ」は打消の意志を表し、ひどく嫌うことはすまい、の意である。本巻の第百三十一首の「風をいとはん」と反対の心を示している。
結句「春の山風」は体言止めで、厭うまいとする対象を倒置の形で示して結んでいる。
いとふ:嫌がる、避ける
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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同じ身の珍しからず惜しめばや 花もかはらず咲けば散るらん
- 次の歌
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山おろしに乱れて花の散りけるを 岩離れたる滝と見たれば