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跡絶えて浅茅茂れる庭の面に
誰分け入りて菫摘みてん

歌の意味
人の訪れも絶えて浅茅が生い茂っている庭に、いったい誰が分け入って、菫を摘むのだろうか。
鑑賞
春歌 159

詞書「菫」
 菫を題とする歌で、次歌と二首が並ぶ。人の訪れが絶えて浅茅が生い茂る荒れた庭に、誰が分け入って菫を摘むのだろうか、と思いやっている。
 荒れた庭にひっそりと咲く菫と、それを摘みに来る人の姿を想像し、人けのない庭の寂しさの中に、可憐な花の存在を浮かび上がらせている。

 初句「跡絶えて」は、人の通った跡が絶えて、の意で、訪れる人がないことをいう。
 二句「浅茅茂れる」は、丈の低い茅が茂っている、の意で、荒れた庭の様子を示す。
 三句「庭の面に」は、庭の表に、の意で、字余りとなっている。
 四句「誰分け入りて」は、誰が分け入って、の意である。
 結句「菫摘みてん」は、菫を摘むのだろうか、の意で、強意の「つ」と推量の「ん」で結んでいる。

あさぢ:丈の低い茅
あと:人の通った跡
作者
西行
出典
山家集
前の歌
青葉さへ見れば心のとまるかな 散りにし花の名残思へば
次の歌
誰ならん荒田の畔に菫摘む 人は心のわりなかるべし