なほざりに焼き捨てし野の早蕨は
折る人なくてほどろとやなる
- 歌の意味
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いいかげんに焼き捨てた野の早蕨は、折り取る人もいないまま、伸びほうけた蕨になってしまうのだろうか。
- 鑑賞
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春歌 161
詞書「早蕨」
早蕨を題とする歌である。春先に無造作に焼き払われた野に芽吹いた早蕨は、誰も折り取る人がいないまま、伸びすぎてほうけた蕨になってしまうのだろうか、と思いやっている。
野焼きの後に芽を出す早蕨の生命力と、それが顧みられずに過ぎていく寂しさとを詠んでいる。野焼きは本巻の第三十三首、第八十五首にも詠まれており、ここでは焼かれた野から芽吹くものへと目が向けられている。
初句「なほざりに」は、いいかげんに、無造作に、の意である。
二句「焼き捨てし野の」は、焼き払ってそのままにした野の、の意で、野焼きの跡をいう。
三句「早蕨は」は、芽を出したばかりの蕨は、の意である。
四句「折る人なくて」は、折り取る人もいないで、の意である。
結句「ほどろとやなる」の「や」は疑問の係助詞で、連体形「なる」と係り結びをなし、伸びほうけた蕨になってしまうのだろうか、と結んでいる。
さわらび:芽を出したばかりの蕨
ほどろ:伸びすぎてほうけた蕨
をる:折り取る
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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誰ならん荒田の畔に菫摘む 人は心のわりなかるべし
- 次の歌
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沼水に茂る真菰のわかれぬを 咲き隔てたる杜若かな