- 歌の意味
- 沼の水に茂る真菰が一面に続いて見分けもつかないところを、咲いて隔てを作っている杜若であることよ。
- 鑑賞
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春歌 162
詞書「杜若」
杜若を題とする歌である。沼に一面に茂る真菰は、どこまでも同じ緑で見分けがつかないが、その中に杜若が咲いて、緑の広がりに区切りをつけている、と詠む。
一様な真菰の緑の中に、紫の杜若が点々と咲く色の対比を、杜若が真菰を隔てているととらえた見方に工夫がある。春の花の歌が、桜から水辺の花へと移っている。
初句「沼水に」は、沼の水に、の意である。
二句「茂る真菰の」は、茂っている真菰が、の意である。
三句「わかれぬを」は、見分けがつかないところを、の意である。
四句「咲き隔てたる」は、咲いて隔てを作っている、の意で、杜若が真菰の緑を区切るように咲く様子をいう。
結句「杜若かな」は、杜若であることよ、と詠嘆の「かな」で結んでいる。
まこも:水辺に生えるイネ科の草
わかる:区別がつく、見分けられる
- 作者
- 西行
- 出典
- 山家集
- 前の歌
- なほざりに焼き捨てし野の早蕨は 折る人なくてほどろとやなる
- 次の歌
- 岩伝ひ折らで躑躅を手にぞ取る 嶮しき山の取りどころには