岩伝ひ折らで躑躅を手にぞ取る
嶮しき山の取りどころには
- 歌の意味
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岩を伝いながら、躑躅を折り取るのではなく手につかむ。険しい山道でつかまる所として。
- 鑑賞
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春歌 163
詞書「山路躑躅」
山道の躑躅を題とする歌である。険しい山道を岩伝いに登りながら、道ばたの躑躅を、花として折り取るのではなく、体を支えるつかまり所として手につかむ、と詠む。
花を愛でて折るのではなく、山道の足場として躑躅をつかむという意外な取り合わせに、おかしみがある。険しい山を歩く者ならではの実感がこもった歌である。
初句「岩伝ひ」は、岩から岩へ伝いながら、の意である。
二句「折らで躑躅を」は、躑躅を折り取らないで、の意である。
三句「手にぞ取る」の「ぞ」は強意の係助詞で、連体形「取る」と係り結びをなし、三句切れとなる。
四句「嶮しき山の」は、険しい山の、の意である。
結句「取りどころには」は、つかまる所としては、の意で、躑躅を手に取る理由を倒置の形で示して結んでいる。
いはづたひ:岩から岩へ伝って行くこと
とりどころ:手でつかまる所
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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沼水に茂る真菰のわかれぬを 咲き隔てたる杜若かな
- 次の歌
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躑躅咲く山の岩陰夕映えて をぐらはよその名のみなりけり