躑躅咲く山の岩陰夕映えて
をぐらはよその名のみなりけり
- 歌の意味
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躑躅の咲く山の岩陰は夕日に照り映えて明るく、小暗いという名の小倉山も、よその山の名にすぎないのだった。
- 鑑賞
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春歌 164
詞書「躑躅山の光たり」
躑躅が山の光となっているという題の歌である。躑躅の咲く山の岩陰が夕日に照り映えて明るく、小暗いという名を持つ小倉山の名も、ここではよその話のようだ、と詠む。
「をぐら」に地名の「小倉」と、ほの暗い意の「小暗」とを掛け、夕暮れでも暗くならないほど躑躅が赤く輝いている様子を表している。題の「山の光」を、地名を用いた機知によって詠みこなした歌である。
初句「躑躅咲く」は、躑躅の咲いている、の意である。
二句「山の岩陰」は、山の岩の陰になったところ、の意で、本来は暗い場所である。
三句「夕映えて」は、夕日に照り映えて、の意で、躑躅の赤さが夕日にいっそう輝く様子を示す。
四句「をぐらはよその」の「をぐら」は、山城国の「小倉山」と、ほの暗い意の「小暗」とを掛けた掛詞である。
結句「名のみなりけり」は、名ばかりのことだったのだ、と気づきの「けり」で結んでいる。
をぐら:山城国の小倉山と、ほの暗い意の小暗とを掛ける
ゆふばゆ:夕日に照り映える
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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岩伝ひ折らで躑躅を手にぞ取る 嶮しき山の取りどころには
- 次の歌
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岸近み植ゑけん人ぞ恨めしき 波に折らるる山吹の花