水錆ゐて月も宿らぬ濁り江に
我すまんとて蛙鳴くなり
- 歌の意味
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水錆が浮いて月の光も映らない濁った入り江に、自分が住もう、この水を澄ませようと言って、蛙が鳴いているようだ。
- 鑑賞
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春歌 168
詞書は前の歌に続き「蛙」
蛙の歌の二首目である。水錆が浮いて、月の光さえ映らないほど濁った入り江で、蛙が鳴いている。その声を、ここに住もう、この濁った水を澄ませよう、と言っているように聞いている。
「すむ」に「住む」と「澄む」とを掛け、濁り江を住みかとする蛙の声に、濁りを澄ませようとする意気込みを聞き取る機知がある。前歌の山田の澄んだ水の蛙に対し、ここでは濁った入り江の蛙が詠まれ、二首が対をなしている。
初句「水錆ゐて」は、水面に錆のようなものが浮いて、の意である。
二句「月も宿らぬ」は、月の光も映らない、の意で、水の濁りの深さを示す。
三句「濁り江に」は、濁った入り江に、の意である。
四句「我すまんとて」の「すむ」は、「住む」と「澄む」とを掛けた掛詞で、ここに住もう、水を澄ませよう、という蛙の言葉として示されている。
結句「蛙鳴くなり」の「なり」は声から推し量る推定を表し、蛙が鳴いているようだ、と結んでいる。
みさび:水面に浮く錆のようなもの、水あか
やどる:月の光が水面に映る
すむ:住む意と、澄む意を掛ける
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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真菅生ふる山田に水をまかすれば 嬉し顔にも鳴く蛙かな
- 次の歌
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うれしとも思ひぞわかぬほととぎす 春聞くことのならひなければ