- 歌の意味
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竜田川の岸に結われた垣根を見渡すと、井堰に立つ白波と見まがうばかりに卯の花が咲いている。
- 鑑賞
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夏歌 176
詞書「水の上の卯の花」
詞書「水の上の卯の花」は、水辺に咲く卯の花を詠む題である。竜田川の岸の垣根に咲く白い卯の花が、川をせき止める井堰に立つ白波と見分けがつかないほどだ、と詠む。卯の花の白さを波の白さに見立てた歌である。
竜田川は紅葉の名所として知られる歌枕であるが、ここでは夏の卯の花を取り合わせ、秋の紅葉とは異なる白一色の景を描いている。次歌も卯の花を白い布に見立てており、卯の花の白さを見立てる歌が続く配列である。
初句「竜田川」は、大和国の歌枕で、紅葉の名所として名高い川である。
二句「岸の籬を」の「籬」は、竹や柴で目を粗く編んだ垣根をいう。卯の花は垣根に植えられることが多かった。
三句「見渡せば」は、已然形に「ば」が付いた形で、見渡したところ、の意を表す。
四句「井堰の波に」の「井堰」は、水を引くために川をせき止めた所で、そこに白く立つ波をいう。
結句「まがふ卯の花」は体言止めで、波と見分けがつかないほど白く咲く卯の花の景を示して結ぶ。「まがふ」は次歌の初句にも用いられ、この語が二首をつないでいる。
まがき:竹や柴で目を粗く編んだ垣根
ゐせき:田に水を引くために川の流れをせき止めた所
まがふ:入り交じって見分けがつかなくなる
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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草しげる道刈りあけて山里は 花見し人の心をぞ知る
- 次の歌
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まがふべき月なき頃の卯の花は 夜さへさらす布かとぞ見る