ほととぎす聞かで明けぬと告げ顔に
待たれぬ鳥の音ぞ聞こゆなる
- 歌の意味
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ほととぎすを聞かないまま夜が明けてしまったと告げるような顔つきで、待ってもいない鶏の声が聞こえてくるようだ。
- 鑑賞
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夏歌 186
詞書「郭公を待ちてむなしく明けぬと云ふ事を」
詞書から、「郭公を待ちてむなしく明けぬ」という題で詠まれた歌であることがわかる。一晩中ほととぎすを待ったのに鳴かず、かわりに待ってもいない鶏の声が、もう夜が明けたと告げるように聞こえてくる、と詠む。待つ鳥は鳴かず、待たない鳥が鳴くという皮肉な取り合わせに、むなしく夜を明かした失望が表されている。
待たれるほととぎすと待たれない鶏とを対比させた構図で、待つ人の思いどおりにならないもどかしさを描いている。次歌も同じ題で、ほととぎすを聞かずに明けた夜を詠んでいる。
初句「ほととぎす」は、一晩中待っていた鳥として示される。
二句「聞かで明けぬと」の「で」は打消の接続助詞で、聞かないまま夜が明けてしまったと、の意である。
三句「告げ顔に」は、いかにも告げるような様子で、の意で、鶏を擬人化している。
四句「待たれぬ鳥の」は、待ってもいない鳥、つまり夜明けを告げる鶏をいう。「れ」は受身の助動詞「る」の未然形である。初句の待たれるほととぎすと対になっている。
結句「音ぞ聞こゆなる」は、係助詞「ぞ」を受けて連体形「なる」で結ぶ係り結びである。「なる」は音を聞いて判断する推定の助動詞で、鶏の声が聞こえてくるようだ、と結ぶ。
つげがほ:いかにも告げ知らせるような顔つき
とり:ここでは鶏、夜明けを告げる鳥
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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待つ人の心を知らばほととぎす 頼もしくてや夜を明かさまし
- 次の歌
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郭公聞かで明けぬる夏の夜の 浦島の子はまことなりけり