郭公聞かで明けぬる夏の夜の
浦島の子はまことなりけり
- 歌の意味
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ほととぎすを聞かないままに夏の夜が明けてしまった。そのあっけなさを思えば、浦島の子の話は本当のことであったのだ。
- 鑑賞
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夏歌 187
詞書は前の歌に続き「郭公を待ちてむなしく明けぬと云ふ事を」
前歌と同じく「郭公を待ちてむなしく明けぬ」という題の歌である。ほととぎすを待つうちに、その声を聞かないまま夏の短い夜が明けてしまった。そのあっけなさに、浦島の子が玉手箱を開けた途端に長い年月が過ぎ去ったという話も本当だったのだと思い知る、と詠む。
浦島の子の伝説は万葉集の長歌にも詠まれた古い物語で、箱を開けると一瞬にして年老いたという結末が知られる。夏の夜の短さを、その一瞬の時の流れに重ねたところに工夫がある。
初句「郭公」は、待っていた鳥として示されている。
二句「聞かで明けぬる」は、聞かないまま夜が明けてしまった、の意で、前歌の二句「聞かで明けぬと」とほぼ同じ句を用いて二首をつないでいる。「明け」は浦島の子が玉手箱を「開け」たことと縁のある語となっている。
三句「夏の夜の」は、短いことで知られる夏の夜をいう。
四句「浦島の子は」は、海神の宮から戻り、玉手箱を開けて一瞬で老いた浦島の子の伝説を指す。
結句「まことなりけり」の「けり」は気づきの詠嘆で、その話は本当だったのだと結んでいる。
うらしまのこ:浦島伝説の主人公、海神の宮から帰って玉手箱を開け、たちまち老いたと伝える
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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ほととぎす聞かで明けぬと告げ顔に 待たれぬ鳥の音ぞ聞こゆなる
- 次の歌
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ほととぎす聞かぬものゆゑ迷はまし 春を尋ねぬ山路なりせば