五月雨に水まさるらし宇治橋や
蜘蛛手にかかる波の白糸
- 歌の意味
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五月雨で水かさが増しているらしい。宇治橋よ、その橋脚の蜘蛛手に、白糸のような波がかかっている。
- 鑑賞
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夏歌 208
詞書は前の歌に続き「五月雨」
五月雨の歌の二首目である。宇治橋の橋脚を支える蜘蛛手の木組みにまで波が白糸のようにかかっている様子から、五月雨で宇治川の水かさが増しているらしいと推し量る歌である。
蜘蛛手という語から蜘蛛の糸を連想させ、そこにかかる波を白糸に見立てており、言葉の縁を生かした見立ての歌となっている。
なお本文は「うち橋」とあり、板を渡しただけの打橋と解する余地もあるが、ここでは宇治川に架かる宇治橋として解する。
初句「五月雨に」は、五月雨のために、の意である。
二句「水まさるらし」の「らし」は、根拠に基づく推定を表す。四句以下の様子を根拠として水かさが増していると推し量っており、二句切れである。
三句「宇治橋や」は、山城国の宇治川に架かる橋で、歌枕である。「や」は詠嘆を表す。
四句「蜘蛛手にかかる」の「蜘蛛手」は、橋脚を支えるために材木を四方八方に組んだものをいう。蜘蛛の足のように広がることからの名である。
結句「波の白糸」は体言止めで、蜘蛛手にかかる白い波を、蜘蛛の糸の縁から白糸に見立てて結ぶ。
くもで:橋脚を支えるため材木を四方に組んだもの、蜘蛛の足のように広がる形
うぢばし:山城国の宇治川に架かる橋、歌枕
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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水湛ふ岩間の真菰刈りかねて 空手に過ぐる五月雨の頃
- 次の歌
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五月雨は岩堰く沼の水深み 分けし石間の通ひ路もなし