五月雨は岩堰く沼の水深み
分けし石間の通ひ路もなし
- 歌の意味
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五月雨のころは、岩にせき止められた沼の水が深いので、これまで分けて通っていた石の間の通い路もなくなってしまった。
- 鑑賞
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夏歌 209
詞書は前の歌に続き「五月雨」
五月雨の歌の三首目である。五月雨で、岩にせき止められた沼の水が深くなり、これまで石の間を分けて行き来していた通い路も水に沈んで見えなくなった、と詠む。長雨によって日々の通い路が断たれた山里の様子である。
前歌が橋にかかる波から増水を推し量ったのに対し、この歌では通い路が水に没したことを詠み、五月雨の水かさがさらに暮らしに迫ってくる様子を描いている。
初句「五月雨は」は、五月雨の頃は、の意で、「は」で取り立てている。
二句「岩堰く沼の」は、岩によって水がせき止められている沼をいう。
三句「水深み」は、形容詞の語幹に「み」が付いた形で、水が深いので、と理由を表す。
四句「分けし石間の」の「し」は過去の助動詞「き」の連体形で、これまで分けて通った石の間を指す。
結句「通ひ路もなし」は、行き来する道もなくなった、の意で、長雨によって閉ざされた状況を言い切って結んでいる。
せく:水の流れをせき止める
いしま:石と石との間
かよひぢ:行き来する道
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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五月雨に水まさるらし宇治橋や 蜘蛛手にかかる波の白糸
- 次の歌
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小笹敷く古里小野の道の跡を また沢になす五月雨の頃