小笹敷く古里小野の道の跡を
また沢になす五月雨の頃
- 歌の意味
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小笹が一面に生い茂る古里の野の、かつての道の跡を、またも沢のようにしてしまう五月雨の頃であることよ。
- 鑑賞
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夏歌 210
詞書は前の歌に続き「五月雨」
五月雨の歌の四首目である。小笹が一面に生えて道の跡もかすかになった古里の野を、五月雨がまたしても水浸しにして沢のようにしてしまう、と詠む。荒れた古里のさびしさと、五月雨の長雨とが重ねられている。
前歌が石の間の通い路が水に沈んだことを詠んだのを受け、この歌でも道の跡が沢となることを詠んでおり、五月雨が道を消していく情景が続いている。
初句「小笹敷く」は、小さな笹が一面に生い茂っていることをいう。
二句「古里小野の」の「古里」は、かつて人が住んでいた荒れた里をいい、「小野」は野原をいう。
三句「道の跡を」は六音の字余りで、かつての道の名残をいう。
四句「また沢になす」は、またしても沢のようにしてしまう、の意で、毎年の五月雨が繰り返し道を水に沈めることを表す。
結句「五月雨の頃」は体言止めで、本巻の第二百七首と同じ結句を用いて五月雨の歌群を連ねている。
ふるさと:かつて住んでいた里、荒れて古びた里
をの:野原
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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五月雨は岩堰く沼の水深み 分けし石間の通ひ路もなし
- 次の歌
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つくづくと軒の雫をながめつつ 日をのみ暮らす五月雨の頃