つくづくと軒の雫をながめつつ
日をのみ暮らす五月雨の頃
- 歌の意味
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しみじみと軒から落ちる雫をぼんやりと眺めながら、ただ一日一日を暮らしている五月雨の頃であることよ。
- 鑑賞
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夏歌 211
詞書は前の歌に続き「五月雨」
五月雨の歌の五首目である。降り続く雨の中、軒から落ちる雫をしみじみと眺めながら、何をするでもなく日を送っている、と詠む。長雨に閉じこめられた住まいでの、物思いに沈む無為の時間が表されている。
「ながめ」に「長雨」を掛けるのは古今集以来の伝統的な技法で、物思いにふける心と降り続く雨とを一語に重ねている。前歌までが水かさの増した外の景を詠んだのに対し、この歌は軒の内からの眺めに転じ、雨に籠もる心を描いている。
初句「つくづくと」は、しみじみと物思いにふけるさまをいう。
二句「軒の雫を」は、軒から滴り落ちる雨の雫をいう。
三句「ながめつつ」は掛詞で、物思いにふけってぼんやり見る意の「眺め」と、降り続く「長雨」とを掛けている。「つつ」は動作の継続を表す。
四句「日をのみ暮らす」の「のみ」は限定で、ただ日を過ごすばかりである、の意を表す。
結句「五月雨の頃」は体言止めで、前の歌々と同じ結句を重ねて、長雨の季節の無聊を余情として残している。
ながむ:物思いにふけってぼんやりと見る意と、長雨の意とを掛ける
しづく:したたり落ちる水の粒
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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小笹敷く古里小野の道の跡を また沢になす五月雨の頃
- 次の歌
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東屋の小萱が軒の糸水に 玉貫きかくる五月雨の頃