- 歌の意味
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東屋の萱葺きの軒から糸のように細く落ちる雨水に、まるで玉を貫いて掛けたように雫が連なる五月雨の頃であることよ。
- 鑑賞
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夏歌 212
詞書は前の歌に続き「五月雨」
五月雨の歌の六首目である。粗末な東屋の萱葺きの軒から糸のように細く流れ落ちる雨水に、雫が玉のように連なっている様子を、糸に玉を貫き通して掛けたようだと見立てた歌である。
前歌の軒の雫を受け、この歌も軒から落ちる雨水を詠むが、物思いの対象ではなく、糸と玉の見立てによって美しい景として描いている。同じ軒の雨を、心情と景とで詠み分けた二首となっている。
初句「東屋の」の「東屋」は、四方に壁がなく屋根だけの簡素な建物、あるいは田舎風の粗末な家をいう。
二句「小萱が軒の」は、萱で葺いた軒をいう。
三句「糸水に」は、軒から糸のように細く流れ落ちる雨水をいう。
四句「玉貫きかくる」は、玉を糸に貫き通して掛けることをいい、雫が連なるさまを、三句の糸に玉を通した飾りに見立てている。
結句「五月雨の頃」は体言止めで、五月雨の歌群に共通する結句で結んでいる。
あづまや:四方に壁がなく屋根だけの簡素な建物、田舎風の粗末な家
をかや:屋根を葺く萱
いとみづ:糸のように細く流れ落ちる水
ぬきかく:糸に通して掛ける
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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つくづくと軒の雫をながめつつ 日をのみ暮らす五月雨の頃
- 次の歌
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五月雨に小田の早苗やいかならん 畦のうき土洗ひ越されて