五月雨に小田の早苗やいかならん
畦のうき土洗ひ越されて
- 歌の意味
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五月雨で、田の早苗はどうなっているだろうか。畦のやわらかな泥土が水に洗い越されてしまって。
- 鑑賞
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夏歌 213
詞書は前の歌に続き「五月雨」
五月雨の歌の七首目である。降り続く雨で田の水があふれ、畦のやわらかな土まで水に洗われて流されている。植えたばかりの早苗はどうなっているだろうか、と案じる歌である。農の営みを気遣う心から、五月雨の激しさをとらえている。
これまでの歌が通い路や軒の雫など身の回りの景を詠んだのに対し、この歌は田の早苗に目を向け、長雨が人々の暮らしに及ぼす影響を思いやっている。
初句「五月雨に」は、五月雨のために、の意である。
二句「小田の早苗や」の「小田」は田をいい、「早苗」は田植えをしたばかりの稲の苗をいう。「や」は疑問の係助詞である。
三句「いかならん」は、二句の「や」を受けて連体形「ん」で結ぶ係り結びで、どうなっているだろうか、と案じている。三句切れで、下の句と倒置になっている。
四句「畦のうき土」の「うき土」は、水を含んでやわらかくなった泥の土をいう。
結句「洗ひ越されて」は、水が畦を越えて土を洗い流してしまって、の意で、三句の心配の理由を後から述べている。
をだ:田
さなへ:田植えをするころの若い稲の苗
あぜ:田と田の間の土を盛った境
うきつち:水を含んでやわらかくなった泥土
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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東屋の小萱が軒の糸水に 玉貫きかくる五月雨の頃
- 次の歌
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五月雨の頃にしなれば荒小田に 人もまかせぬ水湛ひけり