五月雨に佐野の舟橋浮きぬれば
乗りてぞ人はさし渡るらん
- 歌の意味
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五月雨で佐野の舟橋が水に浮き上がってしまったので、人々はその舟に乗って棹をさして渡っているのだろう。
- 鑑賞
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夏歌 223
詞書は前の歌に続き「ある所に五月雨の歌十五首よみ侍りしに、人にかはりて」
十五首の九首目である。佐野の舟橋は舟を並べてつなぎ、その上に板を渡した橋であるが、五月雨の増水で浮き上がってしまったので、人々は橋を歩いて渡るのではなく、舟に乗って棹さして渡っているのだろう、と思いやる歌である。
佐野の舟橋は万葉集の東歌に詠まれた上野国の歌枕である。橋であるはずのものが、水に浮いて本来の舟に戻ってしまうという見方に、増水の様子をとらえた面白さがある。
初句「五月雨に」は、五月雨のために、の意である。
二句「佐野の舟橋」は、上野国の佐野にあった、舟を並べて板を渡した橋で、歌枕である。
三句「浮きぬれば」は、已然形に「ば」が付いた確定条件で、水かさが増して浮き上がってしまったので、の意となる。
四句「乗りてぞ人は」は、係助詞「ぞ」で、橋を歩くのではなく乗って渡ることを強調している。
結句「さし渡るらん」は、四句の「ぞ」を受けて連体形「らん」で結ぶ係り結びである。「さす」は棹をさして舟を進めることで、現在推量の「らん」で遠くの様子を思いやって結ぶ。
ふなはし:舟を並べてつなぎ、上に板を渡した橋
さしわたる:棹をさして舟で渡る
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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五月雨のをやむ晴れ間のなからめや 水のかさ干せ真菰刈る舟
- 次の歌
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五月雨の晴れぬ日数のふるままに 沼の真菰は水隠れにけり