五月雨の晴れぬ日数のふるままに
沼の真菰は水隠れにけり
- 歌の意味
-
五月雨が降り続き、晴れない日数が重なるにつれて、沼の真菰はすっかり水の中に隠れてしまったことよ。
- 鑑賞
-
夏歌 224
詞書は前の歌に続き「ある所に五月雨の歌十五首よみ侍りしに、人にかはりて」
十五首の十首目である。五月雨が降りやまず、晴れない日が重なっていくにつれて、沼に生えていた真菰が次第に水に沈み、ついにすっかり見えなくなってしまった、と詠む。日数とともに水かさが増していく時の経過を、真菰の姿の変化でとらえている。
本巻の第二百二十一首、第二百二十二首に続いて真菰を詠み、ここでは真菰がすっかり水に隠れてしまうところまで詠み進めている。
初句「五月雨の」は、二句の「晴れぬ日数」にかかる。
二句「晴れぬ日数の」は、晴れない日が続いた日数をいう。
三句「ふるままに」は掛詞で、日数が「経る」意と、雨が「降る」意とを掛けている。「ままに」は、につれて、の意である。
四句「沼の真菰は」は、沼に生える真菰を取り立てている。
結句「水隠れにけり」の「水隠る」は、水の中に隠れることをいい、「にけり」で、すっかり隠れてしまったことに気づいた詠嘆を表す。
ふる:日数が「経る」意と、雨が「降る」意とを掛ける
みがくる:水の中に隠れる
- 作者
-
西行
- 出典
-
山家集
- 前の歌
-
五月雨に佐野の舟橋浮きぬれば 乗りてぞ人はさし渡るらん
- 次の歌
-
水なしと聞きてふりにし勝間田の 池改むる五月雨の頃