風をのみ花なき宿は待ち待ちて
泉の末をまた掬ぶかな
- 歌の意味
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花も咲いていない我が家では、涼しい風ばかりを待ちに待って、隣の泉から流れてくる末の水を、またすくって涼をとることよ。
- 鑑賞
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夏歌 230
詞書「隣の泉」
詞書「隣の泉」の題で詠まれた歌である。花のない自分の住まいでは、夏の暑さをしのぐために涼しい風ばかりを待ちわびているが、風も来ないので、隣の泉から流れ出てくる末の水を、またすくって涼をとっている、と詠む。
隣家の泉を直接ではなく、その流れの末で味わうというつつましさに、わび住まいの夏の暮らしぶりが表れている。ここから涼を求める歌が続いていく。
初句「風をのみ」の「のみ」は限定で、風ばかりを、の意である。
二句「花なき宿は」は、花の咲いていない自分の住まいをいう。花のある家には人も訪れ風情もあるが、そうではないわびしい宿であることを示す。
三句「待ち待ちて」は、待ちに待って、の意で、同じ語を重ねて待つ時間の長さを表す。
四句「泉の末を」は、隣家の泉から流れ出てきた水の、その下流をいう。
結句「また掬ぶかな」の「掬ぶ」は、手で水をすくうことをいい、詠嘆の「かな」で結ぶ。
むすぶ:手のひらを合わせて水をすくう
すゑ:流れの下流、末
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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思はずにあな釣りにくき小川かな 五月の雨に水まさりつつ
- 次の歌
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水の音に暑さ忘るるまとゐかな 梢の蝉の声もまぎれて