- 歌の意味
- 夏山の夕暮れに木の下を吹く風の涼しさに、楢の木陰から立ち去るのがつらく感じられることよ。
- 鑑賞
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夏歌 233
詞書「題しらず」
夏の山の夕暮れ、木々の下を吹き抜ける風が涼しいので、休んでいた楢の木陰から立ち去りがたく思う、と詠む。夏の山道を行く人の、ひとときの涼を惜しむ心を表している。
前の歌々が水の音や泉に涼を求めたのに対し、この歌は木陰を吹く風に涼を見いだしており、水の涼から風の涼へと題材が移っている。
初句「夏山の」は、夏の青々と茂った山をいう。
二句「夕下風の」の「下風」は、木の下を吹く風をいい、夕暮れに吹くその風を指す。
三句「涼しさに」は、涼しさのために、と理由を表す。
四句「楢の木陰の」は、楢の木の陰をいう。楢は山に多い落葉樹である。
結句「立たま憂きかな」の「立たま憂し」は、立ち去るのが気が進まない、の意で、詠嘆の「かな」で結ぶ。
したかぜ:木の下を吹く風
なら:山に多いブナ科の落葉樹
- 作者
- 西行
- 出典
- 山家集
- 前の歌
- 杣人の暮れに宿借る心地して 庵を叩く水鶏なりけり
- 次の歌
- かき分けて折れば露こそこぼれけれ 浅茅に交じる撫子の花