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御秣に原の小薄しがふとて
臥所あせぬと鹿思ふらん

歌の意味
馬の飼い葉にしようと野原の小薄を刈り取るので、寝床が荒れてしまったと、鹿は思っていることだろう。
鑑賞
夏歌 236

詞書「夏野草」
 詞書「夏野草」の題で詠まれた歌である。夏の野原では、馬の飼い葉にするために小薄が刈り取られていく。その薄の中を寝床にしていた鹿は、寝床が荒れてしまったと思っているだろう、と鹿の身になって思いやっている。
 三句の「しがふ」と結句の「鹿」とで「しか」の音を重ねており、言葉の響きにも工夫が見られる。

 初句「御秣に」の「御秣」は、馬に与える飼い葉をいう。
 二句「原の小薄」は、野原に生える薄をいう。「小」は語調を整える接頭語である。
 三句「しがふとて」の「しがふ」は、草を刈り取る意と解される。「とて」は、ということで、と理由を表す。
 四句「臥所あせぬと」の「臥所」は鹿の寝床をいい、「あせ」は損なわれる、衰える意で、寝床が荒れてしまったと、の意となる。
 結句「鹿思ふらん」の「らん」は現在推量の助動詞で、鹿の思いを推し量って結ぶ。三句の「しがふ」と同じ音が重ねられている。

みまくさ:馬に与える飼い葉
しがふ:草を刈り取る意と解される
ふしど:寝床、獣が伏す所
あす:損なわれる、衰える
作者
西行
出典
山家集
前の歌
露重み園の撫子いかならん 荒く見えつる夕立の空
次の歌
旅人の分くる夏野の草茂み 葉末に菅の小笠はづれて