夏の夜の月見ることやなかるらん
蚊遣火立つる賤の伏屋は
- 歌の意味
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夏の夜の月を見ることもないのだろうか。蚊遣り火の煙を立てている身分の低い者の粗末な家では。
- 鑑賞
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夏歌 241
詞書は前の歌に続き「題しらず」
夏の夜、身分の低い人々の小さな家では、蚊を追い払うために蚊遣り火をたいて煙を立てているが、その煙のために、せっかくの夏の夜の月を見ることもないのだろうか、と思いやる歌である。
前歌まで夏の夜の短さが詠まれてきたのを受け、この歌から夏の夜の月が詠まれはじめる。以下、海辺や泉、池など、さまざまな場所の夏の月が詠み継がれていく。
初句「夏の夜の」は、二句の「月」にかかる。
二句「月見ることや」の「や」は疑問の係助詞で、三句の「らん」で結ぶ。
三句「なかるらん」は、二句の「や」を受けて連体形「らん」で結ぶ係り結びで、ないのだろうか、と推し量っている。三句切れで、下の句と倒置になっている。
四句「蚊遣火立つる」の「蚊遣火」は、蚊を追い払うために草などをいぶしてたく火をいい、その煙が月を隠すことを表す。
結句「賤の伏屋は」の「賤」は身分の低い者、「伏屋」は屋根の低い粗末な家をいう。
かやりび:蚊を追い払うために草などをいぶしてたく火
しづ:身分の低い者
ふせや:屋根の低い粗末な家
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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夏の夜は篠の小竹の節近み そよやほどなく明くるなりけり
- 次の歌
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露の散る芦の若葉に月冴えて 秋を争ふ難波江の浦