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まだきより身にしむ風の気色かな
秋先立つる深山辺の里

歌の意味
まだその時期にもならないうちから身にしみる風の様子であることよ。秋が先立ってやって来る深い山辺の里では。
鑑賞
夏歌 250

詞書「涼風如秋」
 詞書「涼風如秋」の題で詠まれた歌である。まだ夏であるのに、深い山のほとりの里では、早くも秋のように身にしみる風が吹いている、と詠む。山里には秋がひと足早く訪れることを、風の気配でとらえている。
 ここから夏の部の終わりにかけて、秋の気配を詠む歌が続く。本巻の第二百四十二首からの夏の月の歌が秋や冬の景を見せたのを受け、今度は風そのものが秋を先取りしている。

 初句「まだきより」は、まだその時期にならないうちから、の意である。
 二句「身にしむ風の」は、身にしみるような冷たい風をいう。「身にしむ」は秋の風を言い表すことの多い語である。
 三句「気色かな」は、様子、気配をいい、詠嘆の「かな」で三句切れとなる。
 四句「秋先立つる」は、秋が先立って来る、の意で、ほかの所よりも早く秋が訪れることをいう。
 結句「深山辺の里」は体言止めで、秋が早く来る深い山のほとりの里を示して結ぶ。

まだき:まだその時期にならないうち
みやまべ:深い山のほとり
作者
西行
出典
山家集
前の歌
夕立の晴るれば月ぞ宿りける 玉揺りすうる蓮の浮葉に
次の歌
松風の音のみならず石走る 水にも秋はありけるものを