秋立つと人は告げねど知られけり
深山の裾の風のけしきに
- 歌の意味
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秋になったと人は告げないけれども、自然とわかったことだ。深い山の裾を吹く風の様子によって。
- 鑑賞
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秋歌 255
詞書「山居初秋」
詞書「山居初秋」は、山に住む者が迎える初秋を詠む題である。立秋を告げてくれる人もいない山の住まいだが、深山の裾を吹く風の様子で、秋になったことがおのずとわかった、と詠む。人との行き来のない山居の静けさと、自然の変化に敏感な心とが表されている。
風の音で秋の訪れに気づくという趣向は、『古今和歌集』の藤原敏行の歌「秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる」が名高く、この歌もその流れにある。前歌に続いて風によって秋を知る歌で、前歌の「風に秋知る」を、告げる人のない山居の身に引き寄せて詠んでいる。
初句「秋立つと」は、立秋を迎えたと、の意で、暦の上での秋の始まりをいう。次歌の初句にも同じ句が用いられている。
二句「人は告げねど」の「ねど」は打消の助動詞「ず」の已然形に接続助詞「ど」が付いた形で、人は知らせてくれないけれども、の意である。山居の孤独がにじむ。
三句「知られけり」の「れ」は自発の助動詞「る」の連用形で、おのずと知られた、の意を表す。「けり」は気づきの詠嘆で、ここで句切れとなる三句切れの歌である。
四句「深山の裾の」は、奥深い山のふもとをいい、詠み手の住まいのあたりを示す。
結句「風のけしきに」は、風の様子によって、の意で、三句で言い切った内容の理由を後から示す倒置となっている。
けしき:ようす、ありさま
すそ:山のふもと
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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さまざまのあはれをこめて梢吹く 風に秋知る深山辺の里
- 次の歌
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秋立つと思ふに空もただならで われて光を分けん三日月