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暮れぬめり今日待ちつけて七夕は
うれしきにもや露こぼるらん

歌の意味
日が暮れたようだ。今日の日を待ちおおせて、織女はうれしさにも涙の露をこぼしているのだろうか。
鑑賞
秋歌 259

詞書は前の歌に続き「七夕」
 七夕を詠む一連の二首目である。七夕の日が暮れたようだ、一年待ち続けた今日をついに迎えて、織女はうれしさのあまり涙の露をこぼしているのだろうか、と詠む。悲しみの涙ではなく、うれし涙として露を捉えたところに趣向がある。
 前歌が朝の庭の露を詠んだのに対し、この歌は夕暮れの空の露を詠み、地上の露から天上の織女の涙へと、朝から夕へと時を移している。

 初句「暮れぬめり」の「ぬ」は完了、「めり」は推定の助動詞で、日が暮れたようだ、の意である。ここで句切れとなる初句切れの歌である。
 二句「今日待ちつけて」の「待ちつく」は、待っていたものをついに迎える、の意で、一年に一度の逢瀬の日を迎えたことをいう。次歌の第二百六十二首の初句にも用いられる。
 三句「七夕は」の「七夕」は、ここでは織女星をいう。
 四句「うれしきにもや」の「も」は、悲しいときだけでなくうれしいときにも、の含みをもち、「や」は疑問の係助詞で結句の「らん」と呼応している。
 結句「露こぼるらん」の「露」は涙のたとえで、「らん」は現在推量の助動詞である。係助詞「や」を受けて連体形で結んでいる。

まちつく:待っていたものをついに迎える
たなばた:ここでは織女星のこと
作者
西行
出典
山家集
前の歌
急ぎ起きて庭の小草の露踏まん やさしき数に人や思ふと
次の歌
天の川今日の七日は長き世の ためしにも引き忌みもしつべし