古典和歌stream

天の川今日の七日は長き世の
ためしにも引き忌みもしつべし

歌の意味
天の川の、今日七月七日という日は、末長い仲の例としても引くべきだし、また一夜限りの逢瀬として忌み避けもすべき日である。
鑑賞
秋歌 260

詞書は前の歌に続き「七夕」
 七夕を詠む一連の三首目である。天の川で二星が逢う今日七日は、年ごとに変わらず続く逢瀬として、末長い仲の手本として引くべき日であり、同時に一年に一夜しか逢えない日として、忌み避けるべき日でもある、と詠む。七夕の逢瀬のめでたさとはかなさの両面を、一首の中で言い分けている。
 七夕の二星を、永続する契りの象徴とも、離ればなれの悲しい間柄の象徴とも見ることができるという、相反する見方をそのまま並べたところに趣向がある。

 初句「天の川」は、織女と牽牛が年に一度逢うために渡る天上の川である。
 二句「今日の七日は」は、七月七日の今日は、の意で、七夕の当日を取り立てている。
 三句「長き世の」は、末長く続く世の中の、の意で、四句の「ためし」にかかる。
 四句「ためしにも引き」の「ためし」は手本や先例の意、「引く」は引き合いに出すことで、末長い仲の例として挙げる、の意である。
 結句「忌みもしつべし」の「忌む」は不吉なものとして避けること、「つべし」は強い推量や当然を表し、忌み避けもすべきだ、と四句と対にして結んでいる。

ためし:手本、先例
いむ:不吉なものとして避ける、慎む
作者
西行
出典
山家集
前の歌
暮れぬめり今日待ちつけて七夕は うれしきにもや露こぼるらん
次の歌
船寄する天の河辺の夕暮は 涼しき風や吹きわたるらん