末葉吹く風は野もせにわたるとも
荒くは分けじ萩の下露
- 歌の意味
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葉先を吹く風は野いっぱいに吹き渡るとしても、私は荒々しく分けて行くまい。萩の下葉に置く露を。
- 鑑賞
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秋歌 265
詞書「野径」
詞書「野径」は、野の中の小道を詠む題である。草木の葉先を吹く風は野一面に吹き渡り、露を散らしていくとしても、自分はせめて荒々しく分け入って萩の下葉の露をこぼすまい、と詠む。風の荒さと、露を惜しむ自分のいたわりとを対比させている。
前歌が萩の夕露を袖に払って消してしまうことを惜しんだのを受け、この歌では露を散らさぬよう静かに野道を行こうとしており、萩の露を惜しむ心が続いている。
初句「末葉吹く」の「末葉」は、草木の先の方の葉をいう。
二句「風は野もせに」の「野もせ」は、野も狭いほど一面に、の意である。
三句「わたるとも」の「とも」は逆接の仮定条件で、吹き渡るとしても、の意である。
四句「荒くは分けじ」の「じ」は打消意志の助動詞で、荒々しくは分けて行くまい、と自らの心を述べている。ここで句切れとなる四句切れの歌である。
結句「萩の下露」は体言止めで、萩の下葉に置く露を示し、四句の「分けじ」の対象を倒置によって後に置いている。
すゑば:草木の先の方の葉
のもせ:野も狭いほど一面に
したつゆ:草木の下葉に置く露
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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夕露を払へば袖に玉消えて 道分けかぬる小野の萩原
- 次の歌
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糸薄縫はれて鹿の臥す野辺に ほころびやすき藤袴かな