折らで行く袖にも露ぞこぼれける
萩の葉茂き野辺の細道
- 歌の意味
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花を折らずに通り過ぎる私の袖にも、露がこぼれかかったことだ。萩の葉が茂る野辺の細道では。
- 鑑賞
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秋歌 267
詞書「行路草花」
詞書「行路草花」は、道を行く途中で目にする秋の草花を詠む題である。萩の葉が茂った野辺の細道を、花を折ることもなく通り過ぎていくのに、その袖にまで露がこぼれかかってきた、と詠む。花を手折る人の袖が濡れるのは当然だが、折らずに行く自分の袖まで濡れるほど、萩が茂り露が多いことを表している。
本巻の第二百六十四首、第二百六十五首に続き、萩の露と袖を詠む歌で、萩の茂る野道を行く姿が重ねて描かれている。
初句「折らで行く」の「で」は打消の接続助詞で、花を折らずに通り過ぎていく、の意である。
二句「袖にも露ぞ」の「も」は、折る人の袖だけでなく、の含みをもつ。係助詞「ぞ」は三句の「ける」と係り結びをなす。
三句「こぼれける」は、係助詞「ぞ」を受けて連体形で結び、露がこぼれかかったことに気づいた詠嘆を表す。ここで句切れとなる三句切れの歌である。
四句「萩の葉茂き」は、萩の葉が生い茂っている、の意で、露の多い理由を示す。
結句「野辺の細道」は体言止めで、題の「行路」に当たる野の小道を示して結ぶ。
ほそみち:幅の狭い道
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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糸薄縫はれて鹿の臥す野辺に ほころびやすき藤袴かな
- 次の歌
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穂に出づる深山が裾の群薄 籬にこめて囲ふ秋霧