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穂に出づる深山が裾の群薄
籬にこめて囲ふ秋霧

歌の意味
穂を出している深山の裾の群薄を、垣根の内に閉じこめるようにして囲っている秋霧である。
鑑賞
秋歌 268

詞書「霧中草花」
 詞書「霧中草花」は、霧の中に見える秋の草花を詠む題である。穂を出した深山のふもとの群薄を、秋霧が立ちこめて取り巻き、まるで垣根で囲って閉じこめているようだ、と詠む。霧を籬に見立て、霧の中にかすんで見える薄の群れを描いている。
 前歌までの萩に続いて薄が詠まれ、ここでは霧という秋の景物が加わっている。

 初句「穂に出づる」は、薄が穂を出している、の意である。
 二句「深山が裾の」は、奥深い山のふもとの、の意で、「が」は連体修飾を示す格助詞である。
 三句「群薄」は、群がって生えている薄をいう。
 四句「籬にこめて」の「籬」は、竹や柴で粗く編んだ垣根で、霧を籬に見立てて、薄をその中に閉じこめる、と詠んでいる。
 結句「囲ふ秋霧」は体言止めで、薄を取り囲む秋霧を示して結ぶ。

むらすすき:群がって生えている薄
まがき:竹や柴で目を粗く編んだ垣根
作者
西行
出典
山家集
前の歌
折らで行く袖にも露ぞこぼれける 萩の葉茂き野辺の細道
次の歌
乱れ咲く野辺の萩原分け暮れて 露にも袖を染めてけるかな